Limited Slip Differential

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Close Ratio Gear set

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差動装置(Differential)・差動制限装置(Limited Slip Differential)とは
デフ/LSDについて

大多数の方は、エンジンが生み出した動力が(少なくとも)2つの駆動輪に伝達され、車体を前進させ続けていると考えられています。
例えば、前輪駆動車の場合、前輪が車体を引っ張り続ける。後輪駆動車の場合、後輪が車体を押し出し続けるというように。
この前提は、市場に出回っている約95%の車両に対しては正確ではありません。
なぜなら、一般公道を走行する車両のほとんどは、オープン・デフを装着しているからです。
オープン・デフは構造上、左右どちらか負荷が低い方のホイールに対して、優先的に動力を供給する様になっています。
すなわち、オープン・デフを装着した車両の駆動輪の片方が空転し始めた場合、トラクション(=車体を前に進めようと働く牽引力)は、大幅に失われてしまいます。
ディファレンシャルの目的を理解することによって、オープン・デフやLSDの機能をより深く知る事ができます。
基本的に車体が直進している場合、4輪すべての車輪は同じ速度で回転しています。(ただし、前輪と後輪で異なる外径タイヤを装着している場合、前輪と後輪の回転速度は直進状態であっても一致しません。)
すなわち、車体が直進している状態の場合、デフは機能していません。
直進状態から、旋回状態に切り替わった瞬間に、4輪同一であったホイールの回転速度に差動(=ディファレンシャル)が発生し始めます。
車体が旋回状態にある時、外輪は内輪よりも速く(多く)回転します。

オープン・デフとは

名前が示すように、ディファレンシャル(=デフ)は、車体が旋回する時の内輪と外輪の回転差を調整する為の差動装置です。
オープン・デフは、自動車メーカーが採用している最もシンプルなタイプの差動装置です。
オープン・デフのケース中にある、2つのサイドギヤには、それぞれ車輪につながるサイドシャフト(フランジシャフト)が挿入されます。
デフケースの中では、サイドギヤ(太陽ギヤ)の周りを、ピニオンギヤ(惑星ギヤ)が回っており、内輪と外輪の回転差は、ケースの中にあるサイドギヤとピニオンギヤの回転差によって作り出されています。

オープン・デフの欠点として、直進状態で急加速する際に左右どちらかの片輪のみが空転し始めた場合、トラクションは大幅に失われてしまいます。
また限界域の速度でコーナー旋回する際は、車体にかかる遠心力による外輪側への荷重増加に合わせて、内輪側の荷重(=接地圧)が減少し、最終的には内輪が路面から浮き上がり、トラクションが大幅に失われてしまいます。
このオープン・デフの欠点を解決する為に開発されたのがLSD(=リミテッド・スリップ・ディファレンシャル)です。

LSDとは

LSDが開発された背景にある、さまざまな仕組みや内部構造を知る前に、最初にLSDの基本的な機能と動作の両方を直進時と旋回時に分けて説明します。

LSDという名前が示すように、リミテッド・スリップ・ディファレンシャルは、ディファレンシャル(=差動)のスリップ(=滑り量)をリミテッド(=制限)する目的で開発されました。
0-400mのように、フルスロットルで直線加速する場合において、理想的なLSDの働きは、左右の駆動輪間のスリップ量(=差動量)をゼロにする事です。
左右の駆動輪が等しく回転する事により、車体を前進させ続けます。
オープン・デフの様に、片輪のみが空転する状態を防ぎ、適切に機能したLSDによって、左右の駆動輪が等しく駆動し、最大限のトラクションを生み出します。
その結果、加速性能が大幅に向上します。
よく設計されたLSDは、旋回中においても非常に効果的です。
この状況では、LSDはフルロック状態にも、フルオープン状態にもなりません。
代わりに、LSDは外輪に対して動力をかけ続けようと機能します。
これは、旋回中の内輪の空転を減少させ、ドライバーが素早く旋回後の加速を開始することを可能にします。